10月18日 水曜日 晴れ

TS-1 5クール目 第9日目 涙以外特になし。

乳がん2022㉟

 東京に帰ると、また、抗がん剤のAC療法が続きます。2クール目は母の事でいろいろありましたので、気が張っていたせいか、副作用は殆ど感じませんでした。先生が気にしていた発熱も第1,2クール目には出ませんでした。

 3クール目は4月30日に始まりました。病院へ行くと、待合室か、点滴室に入る手前の狭いところで、前回のクールや体の状態を聞かれます。何日目に吐き気を感じたとか、今は倦怠感がありますかとか、それと合わせて、血液検査の結果で医者が、抗がん剤をいれられるかどうか診断します。

 若い看護師さんに聞かれた後、つい、1クール目から髪が抜けて行って、今は丸坊主に近いというようなことを話すと、その若い看護師さんは「洗髪が楽になりましたね。」とすっごいあっけらかんとした、まるで秋のカーンとした晴天のように気持ちよく言いました。「・・・う、うん。」私はこういうのが精一杯でしたが、一瞬後、何か、心の中のもやもやの一部がさーっと晴れた感じを味わいました。

 看護師さんが行くと、何かおかしくなりました。患者に寄り添って心情をくみ取ってくれる看護師さんも有難いですが、このように、あっけらかんと言ってくれると又、違う意味で有難いです。自分が思い悩むようなことでも、実は、そんなに大したことではないのではと、病気に向かって、冷静に見ることができるようになれる気がします。

 この後も、医療従事者の方たちとお付き合いしていく中で、一般人もしくは患者と彼らの、病気や症状のとらえ方が違うことに気づきました。良くも悪くも、彼らは、病気に関して慣れていて、患者が訴える病状に関しても、経験からこのくらいのレベルだと見当がつくようです。一般人の患者からしたら、生涯で初めての病気にかかり、この先どこまで進むかわからない病状なので、つい、むきになりますが、病気の全体からみると、まだ、1合目か2合目あたりだったりします。このあとの、2つ目の抗がん剤、パクリタキセルで、私は、かなりきつい副作用が出ましたが、我慢できなくて、病院に電話したところ、冷静に応える看護師さんの声に、私の方も、冷静になり、ああ、まだまだ大丈夫だと頭が冷えました。

 3クール目も大過なく進みました。1年6か月後の今、思い返しても、あまり、副作用は思い出しません。ただ、頭と時々の吐き気を思い出すだけです。あと、倦怠感もあったように思いますが、全てはこの次のパクリで印象が薄くなっています。

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